春の関西ツアー(豊橋編) ～1991年5月その1～

新型コロナのため家にいる時間が多くなった。
やることも無いので部屋の整理をしていると・・・

昔の手帳が出てきた。
1985年から2010年まで。

あの頃はスマホどころか、ガラケーも無い時代で、予定は手書きで手帳に書いていたのだ。
2010年以降はきっと携帯に予定を打ち込んだためにないのであろう。

さて、ちょっとだけ手帳のなかを覗いてみるか。

1991年、私は「伊太地山伝兵衛商会」と云うバンドに参加していた。

1991年
5月 6日 新宿サウンドハウス
5月 7日 平塚マハリク
5月 8日 豊橋バークレー
5月 9日 名古屋パラダイスカフェ
5月10日 神戸セカンドチャンス
5月11日 京都アザーサイド
5月12日 和歌山オールドタイム
5月13日 大阪ニコチャン堂
5月14日 ラジオ関西出演
5月15日 藤井寺バグース
5月16日 三重 転石舎
1回目の関西ツアーだね。
ん？あああ思い出した。時を戻そう。

 伊太地山伝兵衛商会の機材車はボロボロの日産キャラバンだった。
エンジンを止めると、ラジエーターから水が漏れるので、ペットボトルの水は必需品だ。

そのボロ車で、とにかく、このバンドは走る。
ライブが終わると次の街へ出発だ。

今回のツアーは11日間連続だ。

まずは、新宿の「サウンドハウス」からライブツアーは始まった。

新宿でのライブが終わると、そのまま平塚の伝兵衛さんの家に宿泊。

翌日は、平塚「マハリクマハリタ」でライブをやって伝兵衛さん宅でニ泊目。

三日目からが本当のツアーの始まりだった。

昼過ぎに平塚から西へと走る。
豊橋までは、東名高速で三時間くらいの距離だ。
豊橋に着いても、なかなかバークレーと云う店がわからずに、車でグルグル走った。

やっと辿り着いたその店は、豊橋駅近くのトキワアーケード商店街にあった。
さびれた商店街は、ほとんどの店がシャッターを下ろしていた。

唯一目についたのが、今どき懐かしいスマートボールの店だった。
その店の名前はスマートボール「アサクラ」だ。

豊橋バークレーは、トキワアーケード商店街の中ほどの地下の小洒落た店だった。

造りは、大きめな喫茶店という感じか。
この日は、地元のジャズバンドと対バンだった。

リハーサルが終わると、早速先ほど発見したスマートボール屋へ。

出番前に、皆で時間を潰した。
お客は、我々だけだった気がする。
スマートボールとは、水平になったパチンコの様なもので、大きなビー玉のボールが穴に入り入賞すると、ボールがジャラジャラと盤面を覆うガラス板の上に出て来る。
伝兵衛さんは、やけに上手だった。
別府のスマートボール屋で鳴らしていたらしい。
ボールで盤面が見えなくなるほど、玉を出していた。
景品にタバコを貰っていたような気がする。

ライブはと言うと、記念すべき初めての豊橋は、お客さんの入りはそこそこだった。
店の人と対バンの人が外で機材車を見送ってくれたのを覚えている。
しかし、俺の豊橋での一番の思い出はスマートボールなのである。

この日は、ライブ後に豊橋のホテルを探したと思う。
電話をかけても皆満室で、やっと一軒泊まれる旅館があった。
散々道に迷ったあげくに、駅の反対の海側にある旅館に夜中にチェックインした。
古い純和風な旅館だった。

しかし、たとえどんな場所でも、寝られる場所があるだけ有り難かった。
皆で、部屋飲みだ。

明日は、名古屋でライブである。

ーつづくー