イナオイ君誕生 ~1991年1月その1~
新型コロナのため家にいる時間が多くなった。
やることも無いので部屋の整理をしていると・・・
昔の手帳が出てきた。
1985年から2010年まで。
あの頃はスマホどころか、ガラケーも無い時代で、予定は手書きで手帳に書いていたのだ。
2010年以降はきっと携帯に予定を打ち込んだためにないのであろう。
さて、ちょっとだけ手帳のなかを覗いてみるか。
1991年、私は「P-MACHINE」と「伊太地山伝兵衛商会」を掛け持ちして活動していた。
1991年1月11日 稲生座
伝兵衛商会が月イチで出ていた稲生座だ。
ん?あああ思い出した。時を戻そう。
俺は、前回稲生座に出演した経験から、ここの小さなステージに乗る様な、すごく薄いバスドラムの製作を思いついた。
昔つのだ☆ひろさんから貰った、パールの16インチのクリスタルのフロアタムをノコギリで半分に切断して、これにバスドラム用の足を付けたのだ。
名前を「イナオイ君」と付けた。
大きさは16インチで、深さは25センチ位のシングル胴だった。
クリスタルのままでは存在感が無かったので、スネアの赤に合う様に、シェルには白いカッティングシートを貼った。
しかし、フープには、このままではベダルが噛まなかった。
かと言って、16インチのバスドラム用木製フープを買う予算が無かった。
俺は考えた末、16インチの皮の次に、16インチの皮のアルミの枠だけを入れて金属フープを10ミリ引き出してみた。
なんとか、ペダルが噛むではないか。
ペダルの当たる部分のフープにゴムを貼って完成だ。
どうせ皮は強く張るつもりは無かったので、これで試す事にした。
そしてこの日が「イナオイ君」のデビューだった。
俺は更に、DWの深さ6インチのメイプル胴の赤いラッカーのスネアドラム。
Kジルジャンのハイハット。
Kカスタムの20インチのライドシンバルも用意していた。
「イナオイ君」は小さいながらも、皮をベロベロにゆるく張ると、結構低音が出る。
バスドラムが有ると、今までのスネアとハイハットだけとは全然違った。
今は、持ち運び用の小さなドラムも売っているが、30年前は自分で作るしかなかった。
「イナオイ君」は好評だったので、これからのツアーの必需品になった。
ーつづくー