大阪前乗り ～1987年11月その2～
新型コロナのため家にいる時間が多くなった。
やることも無いので部屋の整理をしていると・・・
昔の手帳が出てきた。
1985年から2010年まで。
あの頃はスマホどころか、ガラケーも無い時代で、予定は手書きで手帳に書いていたのだ。
2010年以降はきっと携帯に予定を打ち込んだためにないのであろう。
さて、ちょっとだけ手帳のなかを覗いてみるか。
1987年、私は就職して3年目、それと同時に新宿でバンド活動をしていたのだ。
この頃はＭＧと言うバンドに参加していた。
1987年 11月16日 16：30発 ひかり351号
11月17日 神戸チキンジョージ
カーリックボーイズ/マッドギャング/ＭＧ
11月18日 大阪エッグプラント
初めてのツアーが始まった。
ん？あああ思い出した。時を戻そう。
1987年11月14日に新宿ロフトで<ドライヴィンクレイジー発売記念ギグ>を演った2日後。
初のツアーに向かった。
関西でのライブは、神戸と大阪の2本である。
他のメンバー3人とローディー1人は、機材者ウンコ号で前日に大阪に向け東京を発っていた。
サラリーマンをしていた俺は有給を取って、1日遅れで東京駅16：30発 ひかり351号で新大阪に向かった。
まだ「のぞみ」がない時代なので「100系のひかり」であろう。
初代0系よりはライトが少し細く吊り上がっているやつである。
俺は一人で大阪に行くのは初めてだった。
そして、関西の小屋に出演するのも初めてだった。
機材は車で運んでいるので、持ち物は着替えの入ったバッグ1つだけだ。
東京駅で新幹線に乗ると、車内販売のお姉さんから早速ビールを買う。
お姉さんが通るたびにビールを買った。
全然揺れずに快適だ。
新幹線での一人旅を満喫した。
飲んでいると楽しい時間はアッという間に過ぎた。
元々俺は、列車の旅が好きなのだ。
幼い頃は、北海道の母方の実家に寝台列車に乗って帰っていた。
ブルートレインの「ゆうづる」である。
夜、上野駅を発車して早朝に青森駅に到着する。
そこからは、青函連絡船である。
「ゆうづる」は,Ｂ寝台と言って通路が端にあり、昼は対面シート、夜は3段ベッドになる。
進行方向に向かって横向きに寝るので、慣れないと揺れて眠れないのだ。
俺は一番上の寝台で眠れずに、小さな窓からずっと夜の景色を眺めていたものである。
さて、新大阪に着くと、先に大阪に機材者で来ていたメンバー達と合流しホテルへ向かった。
今夜の泊まりは、ホテル関西である。
ここに2連泊する予定である。
ホテル関西とは当時バンドマンには有名な、安いが超ボロいホテルである。
バンドマン以外では甲子園の応援団ご用達である。
道を隔てて遠くに東急インが眩しく見えた。
チェックインすると、布団部屋みたいな部屋に通された。
壁が斜めになっている2人部屋2つとシングル1部屋だった。
部屋割りは、ボーカルのＷは1人でシングル部屋、その他は2人部屋となった。
値段は一人1泊3000円もしなかったような気がする。
近くには少しランクが上の法華クラブが見える。
まあ、寝てしまえば同じか。
荷物を部屋に置き、着替えて夜の街に繰り出した。
俺は、土地勘が無く、どこにいるのか全然わからなかった。
大阪出身のメンバー2人を先頭に、梅田の阪急東通リに行ったと思う。
なぜなら、バナナホールの前に行ったのを覚えているからだ。
東急インの裏手のアーケード商店街にバナナホールはあった。
外観が映画館の様だった。
梅田では、バーボンハウスと並ぶ有名な小屋である。
今回は出演しないが、次に来る時には是非とも出たいと思った。
（この思いは、数年後ジャズブルースバンドの伊太地山伝兵衛商会で果たされる。）
阪急東通リは、時間が遅かったせいもあるのか人通りは少なかった。
なんか寂れたアーケード商店街という印象だった。
食事は阪急東通リの居酒屋に行った気がする。
コンビニでビールを買って、ホテルへ帰った。
完全に旅行気分で部屋で酒盛りをした。
とにかく、やる事なす事すべてが新鮮で面白かった。
ツアーは、これが毎日続くのだからやめられない。
結構飲んで、泥酔した。
救いなのは、連泊なので明日は衣装と着替えだけ持って行けば良かった事だ。
翌日は神戸に移動なので10時にはホテルを出たいところである。
大丈夫か、俺達。
ーつづくー
