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酒飲み親父の自分史 「昔ロックしてた俺へ」

酒飲み親父が昔の手帳を見て半生を振り返るブログ

夏のツアー(鹿児島の小さな温泉) ~1991年8月その15~

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宮之浦温泉

新型コロナのため家にいる時間が多くなった。
やることも無いので部屋の整理をしていると・・・

昔の手帳が出てきた。
1985年から2010年まで。

あの頃はスマホどころか、ガラケーも無い時代で、予定は手書きで手帳に書いていたのだ。
2010年以降はきっと携帯に予定を打ち込んだためにないのであろう。

さて、ちょっとだけ手帳のなかを覗いてみるか。

1991年、私は「伊太地山伝兵衛商会」と云うバンドに参加していた。

 

1991年
8月 1日 京都アザーサイド
8月 2日 大阪ニコチャン堂
8月 3日 神戸ステラ
8月 4日 六甲山カンツリーハウス
8月 5日 移動
8月 6日 移動
8月 7日 湯布院
8月 8日 大分ブリックブロック
8月 9日 天ケ瀬 水光園
8月10日 中津江 松原ダム
8月11日 宮崎ひまわり荘
8月12日~16日 フリータイム
8月17日 奄美大島
8月19日 加世田
8月20日 鹿児島T-BONE
フォーク系バンドは夏のツアーが稼ぎ時だ。
ん?あああ思い出した。時を戻そう。

オフの間お世話になっているベーシストの吉見さんの実家の近くには温泉があった。
歩ける距離ではなかったので、車で毎日通った。

九州には、共同の小さな温泉が数多くある。
入浴料は百円か二百円と格安である。
俺は、こういう温泉が大好きだ。
地元の人達の憩いの場になっているが、旅人として入るのも良いもんだ。
必ず、「兄ちゃん髪の毛が長いから女かと思った。」と、からかわれる。


この温泉の外観は、平屋の小さな小屋と云った所だ。
謎の「不思議な馬油有ります」と書かれた黄色い旗が、暖簾の脇で風に揺れていた。

入口を入ると、カウンターにおばちゃんがいて、入浴料を支払う。
飲み物やタオルも売っていて(不思議な馬油もあったに違いない)、小さなスペースにテーブルと椅子が置いてあった。

俺は、「不思議な馬油」の事がずっと気になっていた。
後に調べてみると、馬のタテガミから採った油を配合した保湿クリームらしい。

不思議な馬油 クリームタイプ120ml

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  • はるやフードライン株式会社
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ここの湯船はタイル造りで、8人も入れば一杯になる大きさだった。
お湯は熱かった気がする。
俺は、熱くて一気には入れないので、まずは足から。
次は腰まで、と少しずつ浸かる。
肩まで入るには、ずいぶんと時間がかかった。
しかし、地元の人は、ザブンと平気で入っていた。

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それにしても、昼間に入る温泉は格別だ。
夏なのに、湯上がりには不思議と汗をかかない。
湯が熱かったので、周りの温度を涼しく感じてしまうのだろう。


湯から上がると、遅い昼飯に行った。
吉田町の山を下り、伊敷団地を過ぎた時に、気付いた事があった。
学校のプールにビニールの屋根があるのだ。
丁度、プールをビニールハウスで覆った形である。
吉見さんに聞くと、桜島の火山灰から、プールを守る為の物だそうだ。


更に坂を下りて、甲突川の川辺にある「味のくろいわ」の支店でラーメンを食べた。
この味に完全にハマってしまっていた。

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そうそう、ラーメンを食べている時に、夏の甲子園のテレビ中継をやっていた。
鹿児島実業対帝京高校の一戦だった。
店員もお客もテレビに釘付けである。
俺は、迂闊にも、帝京の得点シーンで「ヨッシャ」と言ってしまった。
店内に居た全ての人が、一斉に俺の方を向いた。
咄嗟に、恒ちゃんが俺のTシャツの袖を引っ張る。
「ここでそれはマズイ」と言った。
ここは東京ではない、鹿児島である。
さすがに俺も全てを察した。
そう。
店に居る全員が「鹿実」を応援しているのだ。
それからは、大人しく黙ってラーメンを食べたのであった。
結局、帝京が勝った記憶がある。
店を出る時には、気まずかった。


食事の帰りがけに、伊敷団地の酒屋で買い出しをした。
昨夜、吉見さんに言われた様に、「いいちこ」を探す。

運よくこの店には、棚に並んでいた。
早速、三本買い占める。
他の人は、「さつま白波」とお母さん用のビールを買い、吉見さんの実家へと戻った。

今夜も、酒盛りである。
鹿児島の人は、「だいやめ」と呼ぶ。
ダレるのをヤメる、と云う意味らしい。
鹿児島人は、とにかく「だいやめ」が大好きなのである。


ーつづくー