初めての九州ツアー(大分ブリックブロック編) ~1990年11月その6~
新型コロナのため家にいる時間が多くなった。
やることも無いので部屋の整理をしていると・・・
昔の手帳が出てきた。
1985年から2010年まで。
あの頃はスマホどころか、ガラケーも無い時代で、予定は手書きで手帳に書いていたのだ。
2010年以降はきっと携帯に予定を打ち込んだためにないのであろう。
さて、ちょっとだけ手帳のなかを覗いてみるか。
1990年、私は「P-MACHINE」と「伊太地山伝兵衛商会」を掛け持ちして活動する事になった。
1990年11月21日 移動
22日 大分着
23日 打ち合わせ
24日 大分ブリックブロック
25日 宮崎
26日 博多
27日 博多
28日 移動
29日 高円寺稲生座
伝兵衛商会の初めての九州ツアーだ。
ん?あああ思い出した。時を戻そう。
九州のライブハウスで一番好きなのが大分の「ブリックブロック」である。
すごく良い感じのライブハウスで、良く覚えている。
こんな、イケてる店が大分に有るのが信じられなかった。
俺が加入してから、伝兵衛商会での初めての本格的なライブが「ブリックブロック」だった。
大分港のフェリー埠頭の近くにあるこの店は、倉庫を改装した、オシャレなライブハウスだ。
現在も営業しており、数年前に久々に立ち寄ったが、あの時のままだった。
海が見える立地も最高で、潮の香りがする。
伝兵衛さんも自慢げで、リハーサルが終わった後は、一緒に周りを散歩したりした。
俺は、この時の伝兵衛さんが大好きだ。
落着きが無く、そわそわしている。
それでいて、満足気だったのである。
やっと、地元で本格的に音楽をやる気合に満ち溢れていた。
今回の九州ツアーは、桑名晴子さんとのジョイントライブだった。
今日のブリックブロックと、明日の宮崎の2本である。
宮崎のライブの後は。桑名晴子さんとは別れて、我々は単独で博多に向かう予定だ。
桑名晴子さんは、神戸のベーシスト天野SHOさんとのデュオだった。
SHOさんは、今も関西で活躍されている、エロカッコイイ長髪ベーシストである。
二人は、神戸からのフェリーで、ライブ当日に大分入りしていた。
コンサートの段取りは、先に伝兵衛商会が演奏して、入れ替わって桑名晴子さんデュオ登場。
その後、一緒に何曲か演ると云うスタイルだつた。
多分「上を向いて歩こう」とジャズのスタンダードをリハーサルしたと思う。
この日は、特に心に残るライブだった。
ラジオと新聞の宣伝もあり、小屋は満員だ。
何よりも、オシャレなライブハウスに、伝兵衛商会のジャージーな音楽がフィットしていた。
良い音楽と、それを受け止める、良い店がそこにはあった。
我ながら、感動したステージだった。
ライブが終わり、お客さんが帰ると、SHOさんが「長髪の若いドラマー、お前ブラシだけじゃ面白くないだろう。」と言って、ドラムをスティックで叩いてセッションしようと誘ってくれた。
ブラシの演奏だけで、不完全燃焼だった俺に気を使ってくれたのだろう。
SHOさんもファンキーなチョッパーで付き合ってくれた。
そして、お客さんのいない「ブリックブロック」
でドラムソロを演った。
気持ち良かった。
こうして、神戸のSHOさんと親しくなったのである。
明日もあるので、ブリックブロックで少し飲んでから大分駅前のグリーンホテルへ帰った。
宮崎のライブも楽しみである。
ーつづくー