夏のツアー(天ヶ瀬での大失敗) ～1991年8月その10～

新型コロナのため家にいる時間が多くなった。
やることも無いので部屋の整理をしていると・・・

昔の手帳が出てきた。
1985年から2010年まで。

あの頃はスマホどころか、ガラケーも無い時代で、予定は手書きで手帳に書いていたのだ。
2010年以降はきっと携帯に予定を打ち込んだためにないのであろう。

さて、ちょっとだけ手帳のなかを覗いてみるか。

1991年、私は「伊太地山伝兵衛商会」と云うバンドに参加していた。

1991年
8月 1日 京都アザーサイド
8月 2日 大阪ニコチャン堂
8月 3日 神戸ステラ
8月 4日 六甲山カンツリーハウス
8月 5日 移動
8月 6日 移動
8月 7日 湯布院
8月 8日 大分ブリックブロック
8月 9日 天ケ瀬 水光園
8月10日 中津江 松原ダム
8月11日 宮崎ひまわり荘
8月12日～16日 フリータイム
8月17日 奄美大島
8月19日 加世田
8月20日 鹿児島Ｔ－ＢＯＮＥ
フォーク系バンドは夏のツアーが稼ぎ時だ。
ん？あああ思い出した。時を戻そう。

 大分から次のライブの場所である、天ヶ瀬温泉を目指した。
伝兵衛商会の九州内の移動は、当然一般道だ。
大分から国道210号を上り湯布院を過ぎる。
すると、日田方面に向う国道210号とやまなみハイウェイとの分かれ道に,水分峠のレストハウスがある。

ここで休憩をして、さらに国道210号を日田方面へ走る。
バイクのライダー達はここを左に折れて、やまなみハイウェイや、飯田高原のワインディングロードを楽しむのだ。

九重町を過ぎたら童話の里玖珠町だ。
大きな黒い作り物の牛が目印だ。

道沿いのうどん屋で昼食に。

ここで、夏なのに鍋焼きうどんを食べた。
汗をかきながらの鍋焼きうどんも絶品だ。
玖珠町では、春日うどん、金毘羅うどんなどのうどん屋も有名だ。
土鍋ではなく、鉄鍋で出てくるのも嬉しい。

さらに、国道210号を走り、玖珠町の次の街が天ヶ瀬町である。
この小さな温泉街のシャレー水光園と云う温泉旅館で、中津江ミュージックフェスティバルの前夜祭のライブがあった。

天ケ瀬温泉は湯布院と日田の間にある、小さな温泉街の宿である。
その中でも、一番大きい宿が、シャレー水光園である。
玖珠川沿いの、天ヶ瀬のシンボルとも言うべき露天風呂「かじかの湯」で有名だった。
明るいうちに天ケ瀬に着いたので、伝兵衛商会のメンバーで入浴したと思う。

水光園に着くと、明日中津江ミュージックフェスティバルに出演する面々も到着していた。
神戸の六甲山から来ている、下田逸郎さん、大塚まさじさん、桑名晴子さん、マンドリンブラザースさん、等、皆明日の中津江ミュージックフェステイバルの前夜祭として、参加していた。(訂正、2021.8.25）
神戸の六甲山から来ている、憂歌団、大塚まさじさん、西岡恭三さん、桑名晴子さん等、皆明日の中津江ミュージックフェステイバルの前夜祭として、参加していた。

ライブの会場は、地下一階のカビ臭い、赤い絨毯張りの大広間だった。
簡単なリハーサルが終わると、出番まで待ちとなった。
伝兵衛商会の出番は、18時位らしい。
出演者が多い為に、伝兵衛さん以外の3人は、水光園の向かいの焼き鳥屋で時間を潰す事に。
ビールは一杯だけと決めて、呑み始めた。
焼き鳥屋の大将とも仲良くなり、持ってきていたポスターを店に貼ってもらった。

17時半になってギターの恒ちゃんに、水光園の様子を見に行ってもらった。
どうも30分は時間が押しているらしい。

18時に、今度は俺が、水光園の様子を見に行った。
更に時間が押して、我々の出番は19時以降であると判断して、19時に焼き鳥屋を出て水光園へ。

行ってみると、伝兵衛商会の出番は終わっていた。
伝兵衛さんは、一人で弾き語りをしたらしい。

伝兵衛さんは、笑っていたが、本当は腸が煮えくり返っていたと思う。
本当に申し訳なかった。
この夜は、反省することしきり。

天ヶ瀬温泉は、大雨の度に玖珠川が氾濫して水没する。
数年後に、もう一度、天ケ瀬の焼き鳥屋に行く機会があった。
大将は元気にしていて、俺の事も覚えていてくれた。

壁を見ると、あの時のポスターが貼ってあった。
しかし、ポスターの半分から下は色が変わっていた。
この焼き鳥屋は、玖珠川から10メートル以上の天ヶ瀬商店街のメインストリートにある。
大将に聞くと、この色が変わった所まで、大雨により洪水が押し寄せたらしい。
当然、水光園の露天風呂「かじかの湯」は水没し、大変な被害だったと言う。

今年もまた、大雨が降っている。
大雨のニュースを聞くたびに、再び天ヶ瀬温泉に被害が無い事を祈るだけだ。

ーつづくー