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酒飲み親父の自分史 「昔ロックしてた俺へ」

酒飲み親父が昔の手帳を見て半生を振り返るブログ

棺桶を買う ~1985年6月 その4~

CANOPUS スタンド用ファイバーケース 27x100x40 キャスター付

新型コロナのため家にいる時間が多くなった。
やることも無いので部屋の整理をしていると・・・

昔の手帳が出てきた。
1985年から2010年まで。

あの頃はスマホどころか、ガラケーも無い時代で、予定は手書きで手帳に書いていたのだ。
2010年以降はきっと携帯に予定を打ち込んだためにないのであろう。

さて、ちょっとだけ手帳のなかを覗いてみるか。

1985年、私は大学を卒業、就職、それと同時に新宿でバンド活動をしていたのだ。
この頃は新宿ロフトの店員バンドPLMに参加していた。

1985年    6月8日 〇
     6月9日 〇
毎週土日に練習している。
ん?あああ思い出した。時を戻そう。

この頃の俺は、ドラムセットを3台持っていた。
家には、パールのサンダーキング、プレジデントの2セット。
6帖1間の俺の部屋の天井まで届く程、重ねて積んでいた。
ベッドの上しか、いる場所が無かった。
新宿ロフトには、ロートタムのセットとスタンド類を置かせてもらっていた。
ロートタムはかさばらないので倉庫に置いておくのに都合が良かった。

ドラムセットを置きっぱなしなものだから、新宿ロフトに出演するバンドに勝手に貸し出される。

ある時は、パーソンズのドラマー藤田氏がロートタムを使いたいと言うので貸し出した。

 

いつだったかは、ルースターズのドラマー池畑潤二さんがドラム椅子を忘れた事があった。
そこで、倉庫にあった俺の椅子を貸したらしい。
しかし、池畑潤二さんはそのまま、博多に持って帰ってしまった。
次に新宿ロフトに出演するまで、長い間椅子は戻って来なかった。
俺は練習の時、ロフトの折りたたみ椅子でドラムを叩く羽目となった。

すべては、倉庫の中にバラバラにスタンド類を置いているせいだ。
俺は、整理するためにスタンドケースを買う事にした。
キャスター付きで、小さな子供なら横になって入れる位大きな物だ。
「棺桶」と呼ばれている。

 

 新宿の石橋楽器で購入した。
3万か4万円はしたと思う。
家に配達させると、また新宿に運ばなくてはならない。
せっかく新宿で買ったのだから、このまま新宿ロフトに運ぶ事にした。
「棺桶」には両端と真ん中に持ち手が付いている。
空ならば、一人で持って運べると思った。
ビニールには入っていたが、ほぼむき出しだ。
店員も手で運ぶとは思っていないだろう。

石橋楽器を出てすぐに後悔した。
思ったよりも重いのである。
新品なので、歩道を転がすのは嫌だった。
手で持って歩き、疲れると何度もケースの上に腰掛けて休んだ。

周りの人の目が気になる。

こいつ、何を運んでいるんだ。
危ない奴に違いない。
そんな目で見られている。
タクシーを止めようとも思ったが、乗る大きさではなかった。

なるべく大通りを避けて、裏道を行った。
汗だくになって、なんとか2キロの距離を運んだ。

やっと新宿ロフトが見えてきた。
「棺桶」を持って階段を降り、昼の部の終わった店に入った。
まるで、西部劇で「棺桶」を引きずって店に入る、クリントイーストウッドフランコ・ネロ(2020.8.15訂正)だ。

ひとまずカウンターで一休みだ。
ビールが旨い。

早速、運んできた「棺桶」に、倉庫にバラバラに置かれていたスタンド類を入れてみる。
ロフトのPAさんも興味深々で手伝ってくれる。
全部入れると結構重くなった。
一人では持ち上がらない。
キャスターを転がして倉庫に入れてみる。
その時に気づいた。

倉庫には、パブタイムで使う折りたたみ椅子や丸テーブルが置かれていて、そのまま横向きでは入らない。
何て事だ。

・・・

しばらく皆で考えて、「棺桶」を立てて入れる事にした。
どう考えても他に方法が無かったのだ。

スタンドを使う度にとんだ重労働になった。
しかし、倉庫の段差に車輪を引っ掛ければ、起こしたり倒したりする事は一人でも出来た。
倉庫もスッキリしたので良しとしよう。


ーつづくー