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酒飲み親父の自分史 「昔ロックしてた俺へ」

酒飲み親父が昔の手帳を見て半生を振り返るブログ

ARBの打ち上げ ~1985年6月 その3~

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新型コロナのため家にいる時間が多くなった。
やることも無いので部屋の整理をしていると・・・

昔の手帳が出てきた。
1985年から2010年まで。

あの頃はスマホどころか、ガラケーも無い時代で、予定は手書きで手帳に書いていたのだ。
2010年以降はきっと携帯に予定を打ち込んだためにないのであろう。

さて、ちょっとだけ手帳のなかを覗いてみるか。

1985年、私は大学を卒業、就職、それと同時に新宿でバンド活動をしていたのだ。
この頃は新宿ロフトの店員バンドPLMに参加していた。

1985年   6月8日 〇
               6月9日 〇
毎週土日に練習している。
ん?あああ思い出した。時を戻そう。

ARBの新宿ロフトでの打ち上げの話である。
手帳には日にちが書いていないが、間違いなくこの頃の話だ。
ロフトのホームページのロフトアーカイブスというサイトでは、当時の出演バンドを調べる事ができる。
これを見ると、ARBは1985年3月に3Days、1986年の9月に3Daysのライブを行っている。
このどちらかのライブの打ち上げだったのだろうと思う。

この日は、整理券が出て、店の入口から長い列が出来ていた。
ライブは盛況で、俺は中に入れずに外の階段から見ていた。
店の外まで熱気が漏れてくる。

ライブが終わり観客が外に出た後、俺は入れ替わりにカウンター席に座った。
お客さんの汗の蒸気で壁の鏡が曇っていた。

丸テーブルがセッティングされて打ち上げが始まる。
ロフトがホームのARBは、必ずここで打ち上げをする。
昔は石橋凌さんも普段から飲みに来ていたが、この時期はキースさんがよく来ていた。

ARBのメンバーは、石橋凌(Vo)、キース(Dr)、野中'サンジ'良浩(B)、斉藤光浩(G)だった。
斉藤光浩さんは元バウワウのメンバーだったので、山本恭司さんも来ていたと思う。
ちなみに、山本恭司さんの飲み物は、赤ワインと決まっていた。

 他にも有名ミユージシャンが大勢来ていた。

ARB COMPLETE BEST 1978~1990魂

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  • アーティスト:A.R.B.
  • 発売日: 1999/12/16
  • メディア: CD
 

 一段下がったステージ前の丸テーブル席では、ARBのメンバーと主要な人達が飲んでいる。
出演者の打ち上げの席は、ステージ前の丸テーブル席と決まっていた。
今日は打ち上げも満員で、ステージ上にも丸テーブル席を作るほど活気があった。

そして、いつもとは決定的に違っている事かある。

薄汚い地下のライブハウスに、有名な女優さんが来ているのである。

彼女は満員の汗臭いライブが終わった後、打ち上げにだけ現れた。
彼女の登場に拍手が起きた。
彼女がいる所だけは、スポットライトが当たっているかの様だ。
テレビで見るより遥かに美人で、何といっても顔が小さい。
顔のでかい石橋凌さんの隣にいるからなおさらだ。

この日は、石橋凌さんの嫁さんとなった原田美枝子さんが来たのである。
あの、いかつい石橋凌さんが女優さんと結婚なんて。
信じられない。
しかし、事実なのだ。

石橋凌さんの乾杯の一声で、皆立ち上がってグラスを合わせる。
ロフトなので、グラスではなく紙コップだったかもしれない。
原田美枝子さんも加わり、まるで結婚パーティーみたいになった。
皆、嫉妬しながらも祝福していた。

暫くすると、彼女はビール瓶を持ってお酌して回り始めた。
カウンターで飲んでいた部外者の俺もビールを注いでもらった。

打ち上げは、いつもより盛り上がった。
彼女の笑い顔は、場の雰囲気を変えてしまう程の魅力を持っていた。

その後も、料理を取り分けたり、周囲の人と話をしたりしていた。
なにせ、俺は(俺以外の人も)彼女のことをずっと見ていたから。

残念ながら打ち上げの途中で帰ってしまったが、その後も彼女の話で盛り上がった。

この日は、何を言っても石橋凌さんはご機嫌で、終始笑っていた。


ーつづくー