スターダストとポールスター ～1988年3月その2～

新型コロナのため家にいる時間が多くなった。
やることも無いので部屋の整理をしていると・・・

昔の手帳が出てきた。
1985年から2010年まで。

あの頃はスマホどころか、ガラケーも無い時代で、予定は手書きで手帳に書いていたのだ。
2010年以降はきっと携帯に予定を打ち込んだためにないのであろう。

さて、ちょっとだけ手帳のなかを覗いてみるか。

1988年、私は就職して3年目、それと同時に新宿でバンド活動をしていたのだ。
この頃はＭＧと言うバンドに参加していた。

1988年 3月12日 19:00～ 京急仲木戸ポールスター
横浜にあるＢＡＲだ。
ん？あああ思い出した。時を戻そう。

大学のＪＡＺＺ研のＯＢ会が横浜のＢＡＲポールスターで行われた。
卒業以来、大学時代の友人と会うのは3年ぶりである。

京浜急行仲木戸駅(現在は東神奈川駅)を降りて海の方に向かって15分ほど歩くと、何もない暗がりから突然2軒同じような外観のＢＡＲが現れる。
スターダストとポールスターである。

このＢＡＲから先は埠頭で、道に黄色いトラ模様の線が引かれた米軍施設の立ち入り禁止エリアになっていた。
一般人はここで行き止まりだ。

手前のスターダストは通常営業しているＢＡＲだが、奥にあるポールスターは貸し切り専用で普段は営業していない。
同じオーナーの姉妹店なのである。
スターダストの方は、多くの人が見覚えあるだろう。
何故なら、ゴールデンボンバーの「女々しくて」のＭＶで後ろに映っているＢＡＲだからだ。

今回は隣のポールスターでの貸し切りパーティーだった。
パーティーが始まる前に着いて時間があったので、スターダストで一杯飲む事にした。

店内はカウンター席とテーブル席のある古き良きＢＡＲで、年代物のジュークボックスがひときわ目立っている。
木枠の窓からは遠くに横浜の夜景が観えた。
時間が止まったかの様な、昭和初期の面影を残しているＢＡＲなのである。

俺はジュークボックスでプレスリーをかけ、瓶ビールを飲んで待った。
ジュークボックスの正確でメカニカルな動きに釘付けになる。

ビールを２本空けた頃に後輩が呼びに来た。
パーティーの準備だ出来たようだ。
それでは隣のポールスターに移動しよう。

ここは3年前の卒業パーティーの時にもお世話になっている。
この時は朝まで貸し切りで飲み続け、最後はソファーで寝ていた。
朝フラフラになって帰った覚えがある。

ポールスターは場所を貸すだけの店だ。
基本食べ物は持ち込みだが、瓶ビールとグラスは用意してくれる。
もしビールが足りなくなったら、隣のスターダストから持ってくれば良かった。
品の良いお婆さんがオーナーさんだった気がする。

友人達は卒業後、一流企業に就職して普通のサラリーマンになっていた。
まあＪＡＺＺ研だったので、長髪は少なかったのだが、まだ音楽をやっているのは俺だけだった。
俺が今月で会社を辞めて音楽に専念するという話をすると、皆応援すると言ってくれた。

パーティーが終わると、後片づけをして引き渡すのだが後輩達がやってくれたのだろう。
俺は何もせずにそのまま店を後にした。

ご機嫌で駅まで友人と歩いて帰った事は良く覚えている。

久しぶりにスターダストに行ってみるかな。

ーつづくー