マンネリ ～1988年3月その1～
新型コロナのため家にいる時間が多くなった。
やることも無いので部屋の整理をしていると・・・
昔の手帳が出てきた。
1985年から2010年まで。
あの頃はスマホどころか、ガラケーも無い時代で、予定は手書きで手帳に書いていたのだ。
2010年以降はきっと携帯に予定を打ち込んだためにないのであろう。
さて、ちょっとだけ手帳のなかを覗いてみるか。
1988年、私は就職して3年目、それと同時に新宿でバンド活動をしていたのだ。
この頃はＭＧと言うバンドに参加していた。
1988年 3月2日 新宿ロフト
Pin-HEAD/ＭＧ/石井明夫&ザ・ジョーカー
久々のロフトでのライブだ。
ん？あああ思い出した。時を戻そう。
3年勤めた会社は3月31日付けで辞める事になった。
3月中は引き継ぎと荷物の整理で月の半分位の出社となる。
ツアーで有給は使い果たし、3月に休んだ分は給料が出ない。
来月の給料は、税金と社会保険を引かれたら三分の一程度になるだろう。
辞めた後は貯金と失業手当で何とかなると漠然と考えていた。
バンドは月一でラママにも出演していたが、ライブの動員は思う様に伸びずにいた。
昨年から曲が増えていなかったので、そろそろ新曲も作らなければならない。
正月気分の抜けぬまま、ツアーに出かけてダラダラと過ごしてしまった。
ライブで同じ曲をやり続けているので、演奏する方も聞く方も飽きてきている。
元々ＭＧと言うバンドは、ＺＺＴＯＰとＡＣ／ＤＣを交ぜたハードブギーを目指していた。
スタジオでは遊びでコピーも演ったりしていた。
しかし、この頃は前年の秋にリリースされたＫＩＳＳのクレイジーナイトがお気に入りの時期だった。
ＫＩＳＳがメイクを取り、素顔でロックンロールを追及しているアルバムだ。
特にベースのＫはジーンシモンズが大好きだった。
彼の家は練習スタジオに近かったので、ドラムペダルを部屋に置かせてもらっていた。
俺はここまで自転車で行き、ドラムペダルを持ってスタジオに行っていたのだ。
スタジオ帰りにはよく部屋飲みをしていた。
時にはメンバー全員で飲んだ。
飲みながら見るのはＫＩＳＳのビデオだ。
ジーンの火を噴くシーンと血を吐くシーンは嫌というほど見たし、ベースを弾きながら歌う姿もカッコイイ。
ボーカルのＷはポールスタンレーの回転キックを気に入っていた。
俺達もこんなハードロックンロールもやりたいと飲みながら語り合った。
元々ＫＩＳＳが大好きな俺は大歓迎だった。
3月2日。2月に行った関西ツアーの後、大晦日以来のロフト出演だった。
3バンド対バンでのブッキングである。
他の知り合いのバンド
ＺＩＧＧＹ、ＪＳＷ，ＧＤＦ、ＲＹＤＥＲＳ、レジスタンス・・・
等はワンマンでライブをやり始めていた。
俺達だけ動員が増えずに置いて行かれて感じだった。
早く新曲を作らねば。
しかし、4月になれば時間が作れるだろうなどと呑気に考えて、また飲みに行ってしまうのであった。
3月は仕事を辞める前で休みが多かったので、普段に増して飲んでいた様な気がする。
休みの日は殆どロフトで飲んでいた。
ーつづくー
