二度目のツアー(富士・新宿) ～1987年12月その4～
新型コロナのため家にいる時間が多くなった。
やることも無いので部屋の整理をしていると・・・
昔の手帳が出てきた。
1985年から2010年まで。
あの頃はスマホどころか、ガラケーも無い時代で、予定は手書きで手帳に書いていたのだ。
2010年以降はきっと携帯に予定を打ち込んだためにないのであろう。
さて、ちょっとだけ手帳のなかを覗いてみるか。
1987年、私は就職して3年目、それと同時に新宿でバンド活動をしていたのだ。
この頃はＭＧと言うバンドに参加していた。
1987年 12月 7日 名古屋ＥＬＬ
12月 8日 大阪ＯＵＴＤＯＯＲ
12月 9日 広島ウッディ
12月10日 枚方ブローダウン
12月11日 京都磔磔
12月12日 富士ユニセックス
12月13日 新宿ロフト ＭＧ/ＧＤＦ/赤と黒/バーナム/ブルーズ
二度目のツアーが始まった。
ん？あああ思い出した。時を戻そう。
磔磔でのライブの翌日、京都から静岡へ向かった。
距離はそれほど遠くはない。
名古屋を過ぎ、浜名湖を越えれば間もなく到着である。
ユニセックスは静岡市内ではなく、富士市にあった。
商店街？の地下にあって、小さかったが新しい小屋だった。
ここも分かりにくくて、何度も車で行き過ぎた。
対バンは地元のバンドで客はそこそこ入っていた。
ライブでは盛り上がり過ぎて、アンコールの時、椅子ごとステージの後ろに転げ落ちた。
すごく痛くて今でも覚えている。
なんとか這い上がり、尻を浮かして叩き続けた。
富士ユニセックスのライブが終わるとそのまま東京に走った。
富士から東京までは2時間の距離だ。
暗いうちに帰りつき、自宅に戻った。
ライブが6本続いた関西ツアー。
今回のツアーは休み無しだったので疲れ切っていた。
ライブで疲れたと言うよりも、ライブの後の打ち上げが毎日続いたのが原因である。
俺は久しぶりに自宅の布団の上で熟睡した。
午後、何とか起きてシャワーを浴びる。
眠い目を擦りながら電車で新宿に向かった。
15時にロフト入りする。
地下の店内に入ると、たった1週間離れていただけなのに、随分と懐かしく感じた。
ＧＤＦ、赤と黒などの対バンと挨拶する。
皆元気そうだ。
俺達もＧＤＦもツアー帰りなので、各地の話で盛り上がった。
ＧＤＦは秋に、キャプテンレコードから「GLAMOUROUS & DAINGEROUS 」をリリースしていた。
そのレコードの売り込みツアーからの帰りだった。
なんだか、ＧＤＦのメンバーは一回り大きくなって、自信と言うか、余裕を感じた。
ジョーも絶好調そうだった。
それに引き替え、我々ＭＧのメンバーの体は重かった。
ライブはバーナムがキャンセルになったので４バンドが出演した。
俺は疲れ果てていたが、久々のホームグラウンドの新宿ロフトでやり易さを感じていた。
やはり、慣れた小屋は良いものだ。
ツアー最後のステージなので、残る力を振り絞って思い切りやり切った。
出番が終わると、早速ビールをカウンターで貰う。
飲みながらＧＤＦのライブを見ていた。
打ち上げが始まると元気が戻って来る。
ツアーの打ち上げも兼ねて大いに飲んだ。
この勢いが本番にあったらどんなに良かっただろうか。
しかし、時間が経つにつれて、だんだんと憂鬱になってゆく。
俺は翌日の月曜日から仕事なのだ。
ツアーの為に1週間続けて休んだので、会社に行くのが苦痛だった。
珍しく2次会には行かずに、その日のうちにタクシーで帰った。
明日は会社を辞める意思を上司に伝えなければならないだろう。
移動とライブの連続で、とても短く感じた1週間だった。
ーつづくー
